病は気から

動物では、ありえない話なんだけど。 人間は、あるんですよねー。 これが。
人はね、「気持ち」一つで、病気にもなり、ときには死んでしまう事さえあるんです。ほんとですよ。

私も治療を通して、ずいぶん、 いろいろと体験しています。治療だけして,はい終わりじゃ、すまないケースも多々あるんです。

本田静六の努力論という著書の中にも紹介されていますが、知人の三溝という方は、両親も姉も肺病で亡くなっているので、とても神経質になってしまい、痰が出るたびに、人前であろうと、いちいち調べるという不気味な人でありました。

ある朝、まだあたりが薄暗い時に、この人が庭で痰を吐いた。いつもの様に観察してみると、なんと、その痰が真っ赤なので、大変ショックを受け、みるみる発熱してきて、39度まであがり、
それ「氷だ」「医者だ」と大騒ぎになった。原因を聞いた奥さんが、庭に出て、痰をよく見ると、庭に咲いていた、椿の花の上に吐いたために、赤く見えた事が判ったんです。

すると、さきほどまで39度の発熱をしてウンウン唸っていた病人が、これを見て、はたと、大悟して、すぐに元気になり、そのまま出勤してしまった。以後、肺病にもならず、元気に生活していったそうです。

また、田中という人の奥さんは、「入れ歯が、もしはずれて、飲み込んでしまったら大変だ」といつも心配していたそうな。

とうとうある晩、その入れ歯を飲み込んで苦しみだし、胃が張り裂けそうだと七転八倒の苦しみ様で、吐いたり、下したりしていた。

ところが、朝になって、娘さんが風呂場に入れ歯を置いてあるのを発見し、「お母さん、入れ歯は風呂場にありましたよ」と、それを持ってきて見せると、「それじゃあ夢だったんだ」と直ちに苦痛もやみ、熱も下がって平常になったという。

これら、まったく嘘のような事実は、「思い込み」というか、精神的な作用がいかに健康を左右するかを証明していると思います。

この様に病気には、精神的作用が、かなり、影響している場合がけっこうあるんです、これが。

また、その神経作用は、時には人を殺す事もできるのです。(あーこわ)

かつてアメリカで学者が集まって、神経作用の実験をした事があります。

それは、死刑の宣告を受けた受刑者に少しずつ、出血させて、失血死させるというもので、もちろん電気椅子よりは、安楽死ができると本人承諾のもと、行われました。

まず受刑者をベッドに寝かせ、腕の血管に管のついた注射針を差し込み、そのパイプの先から自然に出血させて、体内の血液量を減らしていって、失血死させる、という、シンプルな方法です。

いわば輸血や点滴の逆バージョンですね ただし、この刑の執行にあたり、経過を本人に説明しておくのです。

誰でも出血が多くなれば死にいたる事ぐらい、判っていると思いますが。どのように体調が変化していくかは、経験した事がないのでわかりません。 

そこで、経過説明として事前に、学者たちが、全血液量の半分になったら、睡魔が襲ってきはじめ、三分の一になったら、眠るように、楽に死んでいける、と自信満々に死刑囚に告げておくのです。

そして、いよいよ執行です。刺した針のパイプから血液が漏れ出し、下に置いてある受け皿のトレーにポタポタと、したたり落ちてくる血液の音が受刑者の耳にも聞こえてきます。(目隠しされているので見る事はできません)

そして、今ちょうど半分の血液が抜けたと、告げると、受刑者は、だんだん眠たくなっていき、だんだん意識も薄れていきました。

ついに、今三分の一になったと告げたとたん、息を引きとってしまったんです。

ところが、実際は出血するところを見せた後、目隠しして、すぐに出血はパイプを挟んで止め、血液と同じ粘度の違う液体をポタポタたらして、音だけを受刑者に聞かせていただけなんです。

つまり実際は、ほとんど出血していなかったのです。なのに、本当に死んでしまいまいました。(なんか、ある意味残酷)

どうです「思い込み」というのは、本当に怖いですね。

こんどは、「思い込み」のいい話もしますね。
お楽しみに。